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アメリカ陸軍が世界最強な理由

公開日: : 最終更新日:2013/05/04 イシュー ,

 

ある本を読んでその通りだな、と思ったのでエントリー。

組織やチームにとっての永遠の課題は、環境に合わせて進化を続けなければならないこと。大きな会社では事業ごとに分けられていた組織を、地域ごとに分けるという改革をした。組織やチーム構造の変革は永遠のテーマであり、絶対的な正解はなく、その時の環境に合わせて迅速に組織を作り直し、スムーズに導入することがカギとなる。

この動きは90年代~2000年代にかけて世界最強と言われたアメリカ陸軍が行った組織改革でも見られた。
きっかけは1993年のソマリア紛争。当時、最前線の舞台は戦闘中であっても常に直属の上官への現状報告が義務付けられていた。報告は決まったルートでバケツリレーのように上げられ、司令部に集められた。戦場の情報を全て司令部に集中させる、典型的なピラミッド構造だった。 司令部の命令は決められた経路で伝えられ、最前線の部隊はその命令に従って行動した。命令を待たずに行動することは禁じられていた。

1993年10月3日、ソマリア民兵にヘリコプターが追撃され、さらに救出に向かった車両部隊が銃撃を受け、多くの死傷者を出すという戦闘がおこった。ヘリ墜落直後から上空の偵察機が墜落現場を探す車両部隊と民兵の動きを追っていた。しかし規則上、車両部隊と直接連絡を取ることはできず、墜落現場への道順は、司令部および現場指揮官の乗った戦闘ヘリを経由して、車両部隊に伝えられた

このため「次の角を曲がれ」と言った指示が遅れ、車両部隊は墜落現場の周囲を迷走し、地の利に長けた民兵の集中砲火の的となった。

これが中央集約型組織の限界が見えた瞬間だった。新しい環境では現場のひとりひとりの兵士に、もっと大きな意思決定権限を与え、判断スピードを向上させることが求められた。ここからアメリカ陸軍の抜本的な組織改革がスタートした。

その後、オブジェクト型(目的遂行型)と名付けられた新たな組織が発表され、そこには従来とは全く異なる組織像が描かれた。

組織図はピラミッド型の組織に変わり、各部署が戦術インターネットで結びついた網のような形に変化していた。横のつながり、直属の上司を飛び越えた繋がりも生まれた。新たな組織では情報が全体で共有され、従来トップに集中していた権限が組織全体に散らばる。意思決定の役割を果たす兵士が前線や末端の組織にも配置されるようになった。

そして司令部の役割も意思決定から、現場を情報面で支える役割へと変化した。

ここで起こったことは、「いたるところに敵が潜む新たな環境で、従来の指揮命令系統の限界が浮かび上がった。そこで現場に権限を持たせて前線や末端に意思決定をさせた」ということだ。

この現象が最近どこかで起こった、と感じた。Yahooの「爆速」がそれだ。
Yahooの「爆速」は、ただ単に「仕事を早く」という試みではない。
組織が肥大化した結果、上層部による決断を仰ぐことを省略し、現場に権限を与えたのだ。 

個人がインターネットによって情報を発信できるようになったゲリラ的な環境。それに合わせて企業はどう変化すべきなのか。生き残れるのはどの企業なのか。今、その変化を起こせる企業なのかもしれない。

追記:
こんな記事を見つけたので追記しました。
「大組織のスピードを上げる」米軍式4つのメソッド
http://president.jp/articles/-/9265

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