【実録】あるプロジェクトで痛みを知り、それを通して得た教訓【認められるには?】
以前のエントリーで
嫌われている人から好かれようと思わなくていいんだという件その2
というポストしましたが、今日はそれに通じるようなエントリーです。
上記のエントリーでは、理由もなく嫌われている場合、もしくは自分の力ではどうしようもなく勝手に嫌われている場合、についてのエントリーでした。
そしてその場合、完全に外野なのでその人の感情は無視すればいいと書きました。
また、他人に自分の人生を任せない、ということも(引用で)書きました。
今日は認めてもらえない場合についてです。
相手が自分を認めない。相手が相手の非を認めない。
自分に自信を持っていて、他人よりも優れていると思っていた時期が私にはありました。
自分の言ってることは常に正しく、間違っていないと思っていた時期です。
今考えたら赤面ものですが、そんなことはどう考えたってありえないことですよね。
自分よりも優れた人はたくさんいるし、人間なので間違ったこともたくさん言います。むしろそっちの方が多いくらいです。
そんな時、あるプロジェクトを任されました。文字通り会社を顔を背負った、責任の大きな仕事です。
私はこれまでにない仕事を任され、絶対に成功させてみせると意気込んでいました。
私は自分なりに一生懸命に行動し、最善を尽くしたつもりでした。
しかし、自分の希望や努力とは裏腹に、プロジェクトの途中で予想しなかったトラブルや事態が起きて、私は何度もピンチに陥り、心身ともに疲弊しました。
「なぜ私はこれだけ心身を削って必死に頑張っているのにうまくいかないのか?
自分のどこに手落ちがあるというんだ?いや、自分に非はないはずだ!
そうなったらあと問題があるのはアイツがやっている箇所か!アイツめ!
アイツのせいで私が苦しんでいるんだ!!」
これも今考えれば簡単にわかることですが、自分が一生懸命やっていれば必ず報われる訳では無いんですよね。
(ちなみにそのプロジェクトは、期間、予算、人員、はじめから無理があったプロジェクトだったと、後ほどわかりました。)
しかしそのころの自分にはそんなことすら分かっていませんでした。
それどころか「自分に非はない、悪いのはアイツだ!」と決めつけてしまったのです。
心身ともに疲労していることに加え、家族の病気や入院・手術なども重なり、正直に言えば精神的にかなり参っていました。
そんなギリギリの精神状態も手伝い、うまく行かなかった原因の矛先を相手に向けたのです。
(この辺りも自分の器の小ささを露呈させていました・・・。)
決めつけられた相手にしてみれば面白くないのは当然です。
「100%私が悪いって言うの?!ふざけてる!!」と敵意をむき出しにして反発してきました。
それでも私は自分の正義を力説し、相手の非を攻め立てました。
すると相手は逆上し、まったく関係のない話まで持ち出して狂ったように反撃してきました。
「なぜアイツは私の言うことを認めないんだ?!アイツは自分に非があるとなぜ認めない?!!」
ますます認めてもらいたい者同士のバトルはヒートアップします。
こうなったら手に負えません。話しはこじれにこじれ、ついに相手との関係は断絶状態になりました。
その後、その相手は自分を被害者に見立て、他の社員を味方につけてあること無いこと私の悪い評判を流し始めたようです。
これまで関係の良かった人も、あまり関係がなかった人も、その評判に少なからず影響を受けたようで、以前より私に対してよそよそしく接するようになってきました。
この状況から皆に事実を話し、状況を変えるのは並大抵のことではありませんでした。
自分は精一杯頑張ったにも関わらず、どうしようもない理不尽な状況に支配され、家族にも迷惑をかけてしまい、その時は本当に辛い思いをしました。
(でもこの経験のおかげで後に「自分は関係の中で生かされているんだ」という気づきがありました。)
プロジェクト自体は一応収束し、何とか事なきを得ました。しかしその様子はまるで焼け野原・・・。
他より苦労が多かったにも関わらず、喜びがまったく無いプロジェクトだったと感じました。
(喜びというより、ようやく牢獄から出られたような感じでした。)
時間が経ってから考えることがあります。
もし、あのとき(相手に落ち度はあったにしろ、)自分から先に相手を認めることができたら、状況はどう変わっていたでしょうか?
相手は頑張っていなかったのでしょうか?もしかしたら私が知らないところで必死に頑張っていたのかもしれません。
自分の基準が絶対ではないのです。
自分はどうして相手を認めることができなかったのでしょうか?
少なくとも先に自分が相手を認めていれば、このような状況にはならず、相手も自分の落ち度を認めていたかもしれません。
もっとさかのぼってプロジェクトの開始当初、私が自分の実力を過信せず、謙虚に相手の実力を評価していたら(認めていたら)、(適切なリソース配分と調達をするなど)プロジェクトにおいての相手の進め方も変わっていたかもしれません。
簡単に言えば、自分にはその状況をコントロールできる実力が無かったんです。
その事実を自認することができないのに、相手に非を認めろと言っていたんです。
相手を先に認めることも、自分の実力を認めることも、できなかった。
自分ができないことを力説して相手に求める。
ちゃんちゃらおかしいですね。
自分のことを棚に上げて、相手の非を声高に叫ぶのは自分の正義を認めてもらいたいという「承認欲求」に他なりません。
しかし、相手も同じように「自分を認めてもらいたい」という「承認欲求」を持っていて、それによって相手の行動が決まってくるのです。
大切なことは、自分から相手を認めることで相手の承認欲求を満たすことができ、認めることで相手の行動が変わっくるということです。
「自分が認めてもらえない」「相手が自分に非があると認めない」という場合、自分の正当性をアピールしがちです。
いかに自分が出来る人間か、いかに自分に正義があるか、それだけを力説しがちです。
(思い込んで「自分の中の箱」に入ってしまうんですね。)
それをする前にすべきことがあります。
それは「先に相手を認めること」です。
- ある関係性の中で、自分以外にも人が動いているとすればそこには少なからず影響が発生します。
- 人はそれぞれ得意なところと不得意なところがあり、相互補完して成り立っています。
- 相手から先に認めてもらわなければ、その人は相手を認めることはできません。
- 相手は自分の知らない事情(頑張っている、など)を持っているかもしれません。
とはいえ、これは経験を通して知ったことです。
もし経験できなければ、どこかのタイミングでこの経験をしたことだと思います。
少し遠回りすることになりましたが、貴重な経験ができたということをこれからの糧にしていきたいと思います。
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